Reconsider 実力 vs TOEIC?
先日、社内で昇進の為のガイドライン、また新規雇用の際の役職決定のガイドラインとしても使える役職ごとの職務能力表のアップデートをする会議に出席しました。すでの数回の会議を経て煮詰めてきているものを最終的に確認しようというのが趣旨でした。
- どの会社でもそうですが、役職・職能に応じてグレードを上げていくというような制度があります。外資のうちも例外ではありません。ちなみに我が社ではマネージャーになる前に9段階のグレードがあり、マネージャーになってからもさらに5段階のグレード(ジュニアマネージャー、シニアマネージャー、ディレクターというふうに)があります。
- 各グレードごとの要求されるfunctional expertise、leadership skills、communication skillsなどなど結構細かく規定されていきます。ただこれは足切りラインなどという、ある意味日本的なcriteriaとは異なり、あくまでguidelineです。例えば、ある一つの項目がまだmeetしていなくてもそのほかの部分で卓越した能力があるという人も沢山いるわけで、このguidelineがそういう人の昇進の足かせになるということはありません、というのが趣旨です。
- さて、前置きが長くなりました。その項目の一つがcommunication skills、さらにその中の一つがlanguage skills。アメリカの会社なので当然、英語力という項目があります。今回は各グレード毎に何らかの指標となるべきものということで日本では一番馴染みの深いTOEICがその指標の一つとして選ばれているようです。
- 「エンジニアとアナリストでは同じグレードでも要求される能力が違うのでは?」「いやいや、ガイドラインなんだからそれほどstrictにならずとも」「この点数では高すぎないか?」と議論が盛り上がっています。もともとTOEICの点は参考としてはまぁ、使えるという程度にしか思っていなかったので「どっちでもいいや」と思いながら聞いていました。
- 議論が進むにつれ私はあることに気がつきました。会議の出席者(全員マネージャーです)の「実力 vs TOEIC」の相関が私の認識と違うということに。どうもTOEICがoverestimateされているような気がします。出席者の殆どが英語能力という意味ではかなり高い人たちばかりです。でもそれは彼らがきちんとテストと実力の相関を把握できているとはかぎりません。逆にうけたこともない、という人の方が多いようです。
- 「800点とろうと思えば大変」「このグレードなら700点もあれば」と私から見ればどうみても違うというコメントも聞こえてきました。なので私なり理解している「実力 vs TOEIC」感を述べ、すこしoverestimateではないかというコメントをしました。それでも「いやいや、みんなsasoさんみたいに頭良くないんですよ」と茶化したようなvaluelessコメントも出てくる有様で、すんなり「そうなんですか」とは至りません。
- とはいえ私もそんな議論で白熱するつもりも毛頭無いので「まぁ、あくまで参考までの点数なのでそれほどcriticalに考える必要もないでしょうが」とお茶を濁します。その点だけはみんな同じ考えであったようです。ということで当初のかなり低めのガイドラインがあくまでガイドラインとして参考するという意味合いで合意されました。10数年前に私がTOEIC700点代半ばで入社して全くもって苦労の連続だったグレードのガイドラインが600点と、かなり甘めです。もちろん私は自分の部署にTOEIC600点の人を入れるつもりもありませんが。
- でも、ここでいいたかったのはそのことではありません。私はたまたまこのHPの運営を通じてかなり緻密にこの相関を今まで考えてきました。しかし、英語を公用語とするうちのような外資でも試験を受けたことがない、あるいは普段、その実力との相関をきちんと整理整頓していなければ上記のようなことになるんです。英語が出来る人でもです。出席者のなかには私より言語能力の高い人も多くおられました。それでもそれは試験の点数の持つ意味が分かっているとは限りません。これが日本の企業ならますます混迷を極めているような気がします。
- だからこそ点数にこだわること自体がriskをはらんでいる、とも言えるでしょう。ちなみに私は今の「実力 vs TOEIC」を見なおすべき何でしょうかね?Well, I guess not. 過去何十人ものTOEIC900点以上の方にメールなどでコメント頂きましたが良く当たっているとのコメントが殆どなので今のところ、そっとしておきましょうね。